変わらないものなんか 何ひとつないけど
変わるスピードが 違ったんだなあ
(『スピードとナイフ』ザ・クロマニヨンズ)
ありふれた言葉でぐいっと一気に本質に迫る歌詞だなあと。
ヒロトの歌を聴くとなんとなく金子光晴みたいだなと思う。
純粋で幼稚かと思えば驚くほど辛らつで、時に暴力的。

「暗殺者のメロディ」
録画したジョセフ・ロージー監督「暗殺者のメロディ」を見た。
正直、冒頭は私には退屈で2回リタイアして、でもなぜかここでやめたらもったいない気がしたから(笑)眠くない時にやっと完走。
メキシコ亡命中のトロツキーが暗殺された事件を映画化したもので、トロツキーがジェントルでインテリで人間的にもとても魅力的な人物として描かれていた。
トロツキーを演じるのはリチャード・バートン。
世界的な思想家なのに、まったく気取りがなく、彼を信奉する若者たちを息子のようにかわいがり、大変な愛妻家。
この映画のトロツキーの魅力たるや、リチャード・バートンの演技を見ているだけで、見ているこっちがトロツキストになりそうなほどだ(笑)。
トロツキー暗殺を企てる若者役にアラン・ドロン。
同じ殺し屋でもメルヴィル映画のドロンみたいにかっこよくもクールでもない。
母親を人質にとられて、身の丈に合わない仕事を引き受けただけ。
しかし、私はこのヘタレなドロン、嫌いではない。
むしろ、クールな役よりも合っているような気さえする。
暗殺者がトロツキーを殺そうとするシーン。
室内にもかかわらずコートをなかなか脱ごうとしないドロンがバートンの背後へ回っただけでドキドキする。
トロツキーが殺されそうだからドキドキするのではない。
小心者っぽい暗殺者の緊張が伝わってきてドキドキするのだ。
ヘヴィーな内容のシリアスな映画ではあるが、冒頭でドロンと恋人役のロミー・シュナイダーが「ブルジョア!」「コミュニスト!」とお互いをからかいつつ、じゃれ合っているのには笑った。
こんなカップル嫌だ(笑)。